IAS第10号「後発事象」

リスク企業どう見極め 開示情報にヒント(IAS10号)

IFRS
「やはり法的整理か」。2月27日、ある国内証券のアナリストはエルピーダメモリの会社更生法の適用申請を淡々と受け止めた。慌てずに済んだのは2週間前に同社が開示した重要なリスク情報を意識していたため。「債務の返済日程も勘案し、近く破綻すると思った」と打ち明ける。

エルピーダが発表したリスク情報は「継続企業の前提に関する事項の注記について」。同社が発表した2011年4~12月期の決算短信などに今後1年間、事業を続けられるかが不確実であるという内容を「注記」として記載したと知らせるものだ。

決算短信や金融庁向けの有価証券報告書に「継続企業の注記」 があるかどうかは、企業の破綻リスクを判断する際に最も重要なシグナルといわれる。注記は当該企業が発表するが、経営状況をよく知る第三者である監査法人が破綻リスクを投資家に知らせる情報ともいえるためだ。

実際の「注記」は深刻な 本業の不振や借入金の返済にめどがついていないといった場合 に、決算短信や有価証券報告書に記される。理由のほか会社側の対応策も載っている。決算短信などは東証や金融庁のウェブサイトから確認できる。

もっとも、注記はあくまで「事業の継続に不確実な点がある」という意味で、破綻には直結しない。注記が付いた企業のうち破綻するのは少数派で、経営を立て直した結果、注記がなくなる会社も多い。一方で破綻した会社に絞ってみると、武富士や日本航空など注記がついていた会社が目立つのも事実だ。

「継続企業の注記」は深刻度が高く分かりやすいシグナルだが、該当するのは数十社 に限られる。

(リスク企業どう見極め 決算短信・現金収支…開示情報にヒント
2012/3/21付 日本経済新聞 朝刊)

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■国際会計基準では

IAS10号「後発事象 (Events after the Reporting Period)」より、
「継続企業 (Going concern)」に関する規定を引用します。

【原文】karaoke
14 An entity shall not prepare its financial statements on a going concern basis if management determines after the reporting period either that it intends to liquidate the entity or to cease trading, or that it has no realistic alternative but to do so.

15 Deterioration in operating results and financial position after the reporting period may indicate a need to consider whether the going concern assumption is still appropriate. If the going concern assumption is no longer appropriate, the effect is so pervasive that this Standard requires a fundamental change in the basis of accounting, rather than an adjustment to the amounts recognised within the original basis of accounting.

16 IAS 1 specifies required disclosures if:
(a) the financial statements are not prepared on a going concern basis; or
(b) management is aware of material uncertainties related to events or conditions that may cast significant doubt upon the entity’s ability to continue as a going concern. The events or conditions requiring disclosure may arise after the reporting period.

【訳】
第14項 会社は、経営者が報告期間後に、
 会社を清算したり取引を中止したりすることを意図しているか、
 あるいはそうする以外に現実的な選択肢がない場合、
 継続企業ベースで財務諸表を作成してはならない。

第15項 報告期間後の営業成績や財務状態の悪化が
 継続企業の前提がいまも適切であるか否かを検討する必要を
 示唆する場合がある。
 継続企業の前提がもはや適切でない場合、
 その影響は広範にわたるため、この基準は、
 もとの会計処理のベースの枠内で認識された
 金額の調整ではなく、
 会計処理のベースの根本的な変更を要求する。

第16項 IAS第1号(財務諸表の表示)は、
 以下の場合に求められる開示事項を示している。
(a) 財務諸表が継続企業ベースで作成されていない。
(b) 経営者が、会社の継続企業としての能力に
 重要な疑義を呈する事象または状況に関連する
 重要な不確実性を認識している。
 なお、開示を要求する事象または状況は、
 報告期間後に生じることもありえる。

■きょうの単語
deterioration 【名】 悪化、劣化、低下
pervasive [rve'isiv] 【形】 行き渡る、普及する、広がる

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