IAS第07号「キャッシュ・フロー計算書」

手元資金、有利子負債より多く、「実質無借金」目標広がる

格付け高め資金調達力 パナソニックなど有力企業

 パナソニックやソフトバンク、セイコーエプソンなど有力企業が相次ぎ、有利子負債より手元資金が多い「実質無借金」経営への転換を中期目標で打ち出した。財務を改善し、格付けを高めて資金調達力を強化する。実質無借金の会社は2010年3月期末に上場企業全体の4割強に達しており、同比率は今後さらに上昇する可能性がある。

 パナソニックはかつて「松下銀行」と呼ばれるほど豊富な手元資金を誇ったが、三洋電機の子会社化などで資金需要が増加。10年3月期末には、14年ぶりに有利子負債が手元資金を上回った。有利子負債から手元資金を差し引いた「純有利子負債」は約1200億円にのぼり、1990年代前半まで最上級だった発行体格付けはシングルAプラス(スタンダード・アンド・プアーズ)まで下がった。

 「強固な財務を取り戻す」(大坪文雄社長)ため、今後は環境関連などの重点分野中心に、投資を厳選する。前期までの3年間で約1兆3000億円(三洋電を除く)に達した設備投資を、今期からの3年間は1兆600億円(三洋電を含む)に絞る。13年3月期までに、有利子負債より5000億円多い手元資金を確保する計画だ。

 ソフトバンクは15年3月期までに実質無借金を目指す。10年3月期末の純有利子負債は1兆5000億円に膨らんでいるが、前期からの3年間で計1兆円のフリーキャッシュフロー(純現金収支)を捻出(ねんしゅつ)し負債を減らす。シチズンホールディングスは11年3月期中に実質無借金に転換する公算が大きく、セイコーエプソンは570億円の純有利子負債を16年3月期までにゼロにする計画だ。

 主力事業の実質無借金を目指す動きもある。日産自動車は販売金融などを除く自動車事業を11年3月期中に実質無借金とする見通しだ。次世代環境車の開発や量産投資に備え、在庫の適正化などで資金効率を高め、格付けを改善して資金調達コストを下げる。

マネー企業に滞留 経済活力に影響も

 各社が財務の改善を急ぐのは、2008年秋のリーマン・ショック後、金融市場の混乱で特に格付けの低い会社が資金調達に苦労したことが教訓になっている。景気の先行きが不透明で、財務戦略が保守的にならざるを得ない面もある。市場の混乱にも堪えられるだけの財務基盤を整えつつ、M&A(合併・買収)などの際の機動的な資金調達に備える。

 ただ企業が資金をため込み過ぎると、個社の経営にはプラスでも、日本経済全体にお金が回りにくくなり活力が低下しかねないとの懸念もある。

 上場企業は10年3月期に業績の回復で営業キャッシュフローが増加、そのお金で有利子負債を4年ぶりに減らした。

 しかし設備投資には慎重で、手元資金は過去最高水準にある。実質無借金会社の割合は10年3月期末で43%(集計対象は金融、新興市場を除く連続比較可能な3月期決算1513社)と、過去10年で最高だ。

 財政再建の機運が高まるなか、資金を使い需要を創出する担い手として、企業の存在感は増しそうだ。ミクロでは合理的でも、マクロではそうならない――「合成の誤謬(ごびゅう)」を避けるには企業の投資を後押しする政策も必要との見方が多い。

(手元資金、有利子負債より多く、「実質無借金」目標広がる(戦略分析)
2010/07/13  日本経済新聞 朝刊)

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■国際会計基準では

IAS7号
「キャッシュ・フロー計算書
(Statement of Cash Flows)」の
「定義 (Definitions)」より
引用します。

【原文】karaoke
6 The following terms are used in this Standard with the meanings specified:
Cash comprises cash on hand and demand deposits.
Cash equivalents are short-term, highly liquid investments that are readily convertible to known amounts of cash and which are subject to an insignificant risk of changes in value.
Cash flows are inflows and outflows of cash and cash equivalents.
Operating activities are the principal revenue-producing activities of the entity and other activities that are not investing or financing activities.
Investing activities are the acquisition and disposal of long-term assets and other investments not included in cash equivalents.
Financing activities are activities that result in changes in the size and composition of the contributed equity and borrowings of the entity.

【訳】
第6項 次の用語はこの基準の中では次の意味で使用される。
・「現金」は、手許現金と要求払い預金からなる。
・「現金同等物」は、決まった金額の現金にいつでも換金可能で、重要な価値変動リスクのない、短期で流動性の高い投資をいう。
・「キャッシュ・フロー」は、現金及び現金同等物の流入及び流出をいう。
・「営業活動」は、企業の主な収益を稼ぎ出す活動ほか、投資活動または財務活動以外の活動をいう。
・「投資活動」は、長期の資産および現金同等物に含まれないその他の投資の取得および処分をいう。
・「財務活動」は、企業の拠出資本や借入の規模や構成の変化をもたらす活動をいう。

■きょうの単語
comprise [kəmpra'iz] 【他動】 ~から成る
disposal [dispo'uzl] 【名】 処分、売却
※「~を処分する」は、dispose of ~

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