« 2012年2月 | トップページ | 2012年4月 »

2012年3月

「重厚長大」企業、減価償却の負担軽減(IAS16号)

IFRS
鉄鋼や製紙、化学といった重厚長大型の製造業を中心に、2013年3月期以降に減価償却費用が大幅に減るところが相次ぐ見通しだ。これらの業種には、07年度の税制改正に伴って5年間限定で減価償却の対象資産が一時的に増えていた企業が多い。負担軽減効果が100億円を上回るところもあり、来期以降の企業収益の一定の押し上げ要因になりそうだ。

「今期(12年3月期)の営業利益見通しは400億円しかない。年300億~400億円の費用がなくなるのは非常にインパクトが大きい」(JFEホールディングス)。JFEでは来期、減価償却費の軽減効果で300億~400億円の利益押し上げを見込む。鉄鋼大手ではこのほか新日本製鉄や神戸製鋼所でも100億~300億円規模、石油大手では出光興産で100億円程度、それぞれ利益押し上げ効果が出る見通しだ。

背景にあるのは07年度の税制改正だ。企業は工場などの固定資産を取得する際、投じた資金を何年かにわたって費用として計上し帳簿上の価値を減額していく。この 減価償却はかつて取得価格の95%までしか損金算入が認められていなかった

だが 07年度の税制改正で、07年3月以前に取得した固定資産で償却が95%まで終了したものでも備忘価格(1円)まで5年間をかけて均等償却 することが認められた。償却分は税法上の損金として認められるため税制面でのメリットがあった。

ただ、残り5%分とはいえ、製鉄所や製油所のように建設に数千億円かかる巨大設備をいくつも抱える重厚長大型の製造業には大きな額。追加の減価償却は資金の流出は伴わないものの、会計上はコストの増加要因で、これらの業種では過去5年間、利益の押し下げ要因になっていた。12年3月期はこの均等償却の最後の年に当たり、来期からはこうした一時要因がなくなることになる。

王子製紙も来期の負担軽減が50億円強に上りそう。海外M&A(合併・買収)の加速が減価償却費の増加要因となるが、来期は負担軽減効果の方が大きく、3期ぶりに営業増益を見込めるとの市場の見方もある。日本製紙グループ本社も来期は80億~90億円程度の押し上げ効果を見込む。同社は生産設備の減損損失を計上ずみで、償却負担の軽減額はさらに増える可能性もある。

もっとも、過去数年間で活発な設備投資をしていた場合はそのぶん償却費用がかさみ、減価償却費の総額では今期より増える例もある。積極戦略を取ってきた企業ほど、減価償却費の軽減効果は限定的となりそうだ。

(「重厚長大」企業、減価償却の負担軽減
税制改正の影響なくなる 来期以降、収益押し上げ要因に
2012/3/24付 日本経済新聞 朝刊)

   +++浅田真央 上村愛子 皆川賢太郎 黒木メイサ iPhone iPad 鳥居みゆき バンクーバー 東京スカイツリー SOX 内部統制 国母 中島美嘉 GooglePhone Twitter

■国際会計基準では

IAS第16号「有形固定資産 (Property, Plant and Equipment)」より、
「開示」に関する規定を引用します。

【原文】karaoke
Definitions
6 The following terms are used in this Standard with the meanings specified:

Depreciable amount is the cost of an asset, or other amount substituted for cost, less its residual value.

The residual value of an asset is the estimated amount that an entity would currently obtain from disposal of the asset, after deducting the estimated costs of disposal, if the asset were already of the age and in the condition expected at the end of its useful life.

【訳】
定義
第6項 以下の用語は本基準において、次の意味で用いられる。

償却可能額とは、資産の取得価額または取得価額に代わるその他の金額から残存価額を控除した額をいう。

資産の残存価額とは、当該資産がすでに一定の年数を経過して耐用年数経過時点で見込まれる状態にあると仮定したときに、企業が資産の除却から得られるであろう見積もり額から除却費用の見積もり額を控除した額をいう。

■きょうの単語
residual [rizi'ʤuəl] 【形】 残りの、残余の

にほんブログ村 英語ブログ 英語で仕事へ
IFRS原文入手

人気ブログランキングへ
IFRS関連の転職情報も

| | コメント (0) | トラックバック (0)

リスク企業どう見極め 開示情報にヒント(IAS10号)

IFRS
「やはり法的整理か」。2月27日、ある国内証券のアナリストはエルピーダメモリの会社更生法の適用申請を淡々と受け止めた。慌てずに済んだのは2週間前に同社が開示した重要なリスク情報を意識していたため。「債務の返済日程も勘案し、近く破綻すると思った」と打ち明ける。

エルピーダが発表したリスク情報は「継続企業の前提に関する事項の注記について」。同社が発表した2011年4~12月期の決算短信などに今後1年間、事業を続けられるかが不確実であるという内容を「注記」として記載したと知らせるものだ。

決算短信や金融庁向けの有価証券報告書に「継続企業の注記」 があるかどうかは、企業の破綻リスクを判断する際に最も重要なシグナルといわれる。注記は当該企業が発表するが、経営状況をよく知る第三者である監査法人が破綻リスクを投資家に知らせる情報ともいえるためだ。

実際の「注記」は深刻な 本業の不振や借入金の返済にめどがついていないといった場合 に、決算短信や有価証券報告書に記される。理由のほか会社側の対応策も載っている。決算短信などは東証や金融庁のウェブサイトから確認できる。

もっとも、注記はあくまで「事業の継続に不確実な点がある」という意味で、破綻には直結しない。注記が付いた企業のうち破綻するのは少数派で、経営を立て直した結果、注記がなくなる会社も多い。一方で破綻した会社に絞ってみると、武富士や日本航空など注記がついていた会社が目立つのも事実だ。

「継続企業の注記」は深刻度が高く分かりやすいシグナルだが、該当するのは数十社 に限られる。

(リスク企業どう見極め 決算短信・現金収支…開示情報にヒント
2012/3/21付 日本経済新聞 朝刊)

   +++

■国際会計基準では

IAS10号「後発事象 (Events after the Reporting Period)」より、
「継続企業 (Going concern)」に関する規定を引用します。

【原文】karaoke
14 An entity shall not prepare its financial statements on a going concern basis if management determines after the reporting period either that it intends to liquidate the entity or to cease trading, or that it has no realistic alternative but to do so.

15 Deterioration in operating results and financial position after the reporting period may indicate a need to consider whether the going concern assumption is still appropriate. If the going concern assumption is no longer appropriate, the effect is so pervasive that this Standard requires a fundamental change in the basis of accounting, rather than an adjustment to the amounts recognised within the original basis of accounting.

16 IAS 1 specifies required disclosures if:
(a) the financial statements are not prepared on a going concern basis; or
(b) management is aware of material uncertainties related to events or conditions that may cast significant doubt upon the entity’s ability to continue as a going concern. The events or conditions requiring disclosure may arise after the reporting period.

【訳】
第14項 会社は、経営者が報告期間後に、
 会社を清算したり取引を中止したりすることを意図しているか、
 あるいはそうする以外に現実的な選択肢がない場合、
 継続企業ベースで財務諸表を作成してはならない。

第15項 報告期間後の営業成績や財務状態の悪化が
 継続企業の前提がいまも適切であるか否かを検討する必要を
 示唆する場合がある。
 継続企業の前提がもはや適切でない場合、
 その影響は広範にわたるため、この基準は、
 もとの会計処理のベースの枠内で認識された
 金額の調整ではなく、
 会計処理のベースの根本的な変更を要求する。

第16項 IAS第1号(財務諸表の表示)は、
 以下の場合に求められる開示事項を示している。
(a) 財務諸表が継続企業ベースで作成されていない。
(b) 経営者が、会社の継続企業としての能力に
 重要な疑義を呈する事象または状況に関連する
 重要な不確実性を認識している。
 なお、開示を要求する事象または状況は、
 報告期間後に生じることもありえる。

■きょうの単語
deterioration 【名】 悪化、劣化、低下
pervasive [rve'isiv] 【形】 行き渡る、普及する、広がる

にほんブログ村 英語ブログ 英語で仕事へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年2月 | トップページ | 2012年4月 »