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繰り延べ税金資産 取り崩せば最終損益悪化(IAS12号)

東日本大震災の企業への影響が広がる中、3月期決算で「繰り延べ税金資産」の取り扱いが焦点になっている。将来の税負担の軽減を見込んで計上する繰り延べ税金資産が取り崩されると、最終損益を圧迫する要因になるためだ。

繰り延べ税金資産は企業が実際に支払う税金額と会計上の税金費用を調整する項目。例えば、生産設備の収益性が大幅に低下すると会計上は損失を計上するが、税務上は実際に設備を除却するまでは損失にならず、課税所得には反映されない。会計上は税金を前払いする形になり、この前払い分を繰り延べ税金資産として貸借対照表に計上し自己資本を同額増やす。

繰り延べ税金資産の計上は、安定的に利益を出せることが条件。十分な利益が見込めない場合は取り崩す必要がある。会計ルールでは計上できる上限を業績の安定度に応じて5段階に区分している。

日本冶金工業は3月下旬に2011年3月期の連結最終赤字が100億円になると発表。原材料高に加え、今後の生産活動に東日本大震災の影響が見込まれ、繰り延べ税金資産71億円を全額取り崩すことが響く。

10年12月末の繰り延べ税金資産の多い企業を調べると、メガバンクや電力会社が上位に目立つ。繰り延べ税金資産の取り崩しは、本業の低迷に追い打ちをかけるため、業績悪化を増幅させる。投資家は収益や自己資本に比べて、税金資産が過大かどうか、注意が必要だ。

(3月期決算 会計処理の焦点)繰り延べ税金資産 取り崩せば最終損益悪化
2011/4/2付 日本経済新聞 朝刊

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■国際財務報告基準では

IAS12号「法人所得税 (Income Taxes)」では、
繰延税金資産の回収可能性の判定にあたって、
3つの項目に照らして検討することを求めています。

以下に、その1つ目を引用します。

【原文】
27 The reversal of deductible temporary differences results in deductions in
determining taxable profits of future periods. However, economic benefits in the
form of reductions in tax payments will flow to the entity only if it earns
sufficient taxable profits against which the deductions can be offset. Therefore,
an entity recognises deferred tax assets only when it is probable that taxable
profits will be available against which the deductible temporary differences can
be utilised.

【訳】
27 将来減算一時差異の戻し入れは、
将来期間の課税所得の算定にあたって、
減算を生じる。
しかし、税金支払の減額という形の経済的利益は、
相殺しうる十分な課税所得を
企業が計上している場合にのみ生じる。
そのため、企業は、
将来減算一時差異を利用できる
課税所得が生じる可能性が高い場合にのみ、
繰延税金資産を認識する。

■今日の単語
deferred: 繰り延べられた

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