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年金会計

IFRS
国際会計基準(IFRS)が日本の産業界や資本市場を揺さぶっている。IFRSの導入や共通化に対して日本はどう向き合うべきか。主要な論点を識者に聞く。1回目は年金会計。

単独は激変緩和策を検討 西川郁生氏(企業会計基準委員会委員長)

――企業会計基準委員会は日本基準とIFRSの共通化を進めるため、年金会計を見直す公開草案を出している。

「現在は年金の積み立て過不足を段階的に財務諸表に反映しているが、即時に貸借対照表に反映するよう変更する。企業が健全な財務体質を保つためには、積み立て過不足を注記にとどめる現行基準は十分でない」

「企業にとってつらい気持ちは理解するが、財務諸表の利用者である投資家にとっては、一気に積み立て過不足が計上された方が親切。今は積み立て不足が発生しやすい経済情勢だからこそ、即時認識が必要だ」

――会計ルールが企業に年金制度の変更を促しているとの指摘がある。

「確定給付型から確定拠出型に変える企業が増えるだろう。会計が企業の経営を変える決断を迫っていいのかという意見はある。ただ会計は、企業が負っているリスクをきちんと表現できるようにしなければならない」

――単独財務諸表に積み立て不足を反映すると、一部の企業は経営への影響が大きいと懸念している。

「連結と単独で処理を変える必然性はない。だが借入金や社債の条件を定める財務制限条項などに影響が大きいというのであれば、制度変更に伴う激変緩和措置を検討する必要があるのかもしれない」

配当や銀行取引に影響も 佐藤行弘氏(三菱電機常任顧問)

――年金会計の変更は企業経営にどう影響するか。

「見直しは2段階ある。第1段階は貸借対照表に積み立て不足を即時反映する内容。個人的にはこの案に反対しないが、積み立て不足が大きく自己資本(純資産)の薄い企業では様々な影響が出かねない」

――単独財務諸表がなぜ問題になるのか。

「積み立て不足の一括計上で単独の純資産が大きく減った場合、会社法が単独で定める配当可能額に影響する可能性がある」

「信用力の低い企業では、銀行からの借り入れや社債償還の条件を定める財務制限条項に抵触する懸念もある。一定の純資産を保つ条件が入っている場合、増資などの対応や金融機関との交渉を迫られるケースもありうる。海外子会社から配当を吸い上げ、親会社の利益剰余金を増やす企業も出てくるだろう」

――第2段階は近くIFRSの基準が公表される予定。問題点は何か。

「現行案では、運用などで発生した積み立て不足は貸借対照表で即時認識した後は、費用計上が認められない可能性がある。製造業にとってはコスト管理上、影響が大きい。年金費用は人件費と同じ側面がある。コストとして価格に転嫁する道が閉ざされると原価計算に影響が出る。第2段階には断固反対だ」

(IFRSと日本 論点を聞く(1) 年金会計 2011/2/2 12:29 日本経済新聞 朝刊

   +++

■国際会計基準では

「寸評─確定給付制度(IAS第19号改定案)
(Snapshot: Defined Benefit Plans: Proposed amendments to IAS 19)」
(2010年4月)
より、「制度資産の収益」の定義を引用します。

【原文】karaoke
What is the IASB proposing?

1. Immediate recognition of defined employee benefit cost
The IASB proposal
The IASB proposes to remove from IAS 19 options that allow a company not to recognise some gains and losses that arise when the company changes its estimate of a defined benefit obligation, or when there are changes in the fair value of its plan assets. Instead, the ED proposes that companies should recognise these items immediately.
The response to the IASB’s 2008 discussion paper indicated general support for immediate recognition.

2. Presentation
The IASB proposal
The ED proposes a new presentation approach that will improve the visibility of the different types of gains and losses arising from defined benefit plans.
Specifically, the ED proposes that
companies should present:
• service cost – in profit or loss.
• finance cost – as part of finance
costs in profit or loss.
• remeasurement – in other comprehensive income.

The proposal complements more general improvements that the IASB
will propose in its forthcoming exposure draft on the presentation of
items of other comprehensive income, expected in May 2010.

【訳】
IASBの提案

1. 確定給付費用の即時認識

IASB案
IASBは、会社が確定給付債務の見積りを変更したとき、または、
制度資産の公正価値に変動があったときに生じる損益の一部を
会社が認識しないことを許容する選択肢を
IAS第19号から削除することを提案している。
IASBのディスカッション・ペーパー(2008年)への回答は全般に、
即時認識の支持を示唆するものであった。

2. 表示

IASB案
公開草案は、確定給付年金から生じるタイプの異なる損益が
明確になるよう改善した、新しい表示方法を提案している。

特に、公開草案は、企業が以下のように表示するよう提案している。
・勤務費用─純損益の中で
・財務費用─純損益の財務費用の一部として
・再測定額─その他の包括利益の中で

この提案は、その他の包括利益項目の表示に関して近日公開予定の
公開草案(2010年5月予定)の中でIASBが提案する、
より全般的な改善案を補完するものである。

■きょうの単語
visibility [vi`zəbi'ləti] 【名】 目に見える度合い、視認性
complement [kɑ'mpləme`nt ] 【他動】 ~を完全にする、補完する

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