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固定資産の減損会計 損失計上の先送り防ぐ(IAS36号)

東日本大震災では工場や機械など事業用固定資産が被災した企業が相次いだ。直接的な被害に加え、被災の影響で今後の収益性が大幅に低下する可能性がある。投資の回収が見込めなくなると、企業は多額の損失処理を迫られる。

「固定資産の減損会計」と呼ばれる会計ルールで、資産ごとに帳簿価格を減額する。特別損失に計上するため、最終損益の押し下げ要因になる。企業のM&A(合併・買収)で計上したのれん代なども対象になる。損失計上の先送りを防ぎ、資産の透明性を高める会計ルールだ。

具体的な会計処理は、まず経営環境の悪化など減損の「兆候」を把握。対象とする資産を絞ったうえで、投資の回収可能額を計算し、帳簿価格との差額を減損損失として計上する。

回収可能額は「使用価値」と「売却価格」のいずれか高い方の金額。使用価値は対象資産を使って将来稼ぐことができるキャッシュフロー(現金収支)を現在の価値に換算した金額をいう。つまり、稼げる金額か、売却で回収できる金額まで簿価を引き下げるわけだ。

ソニーは磁気テープを生産する多賀城事業所(宮城県多賀城市)などで操業が停止。JXホールディングスは仙台製油所(仙台市)などが被災した。企業が資産の収益性が大幅に低下したと判断すれば、減損損失が発生する可能性がある。

今回の震災では被害による将来の影響を予測することは難しく、本格的な損失処理が来期になる例も出てきそうだ。

(3月期決算 会計処理の焦点)固定資産の減損会計 損失計上の先送り防ぐ
2011/3/30付 日本経済新聞 朝刊

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■国際会計基準では

IAS36号「減損 (Impairment of Assets)」から、
減損の兆候のうち、
会社内部の兆候の例を引用します。

【原文】
14 Evidence from internal reporting that indicates that an asset may be impaired includes the existence of:
(a) cash flows for acquiring the asset, or subsequent cash needs for operating or maintaining it, that are significantly higher than those originally budgeted
(b) actual net cash flows or operating profit or loss flowing from the asset that are significantly worse than those budgeted;
(c) a significant decline in budgeted net cash flows or operating profit, or a
significant increase in budgeted loss, flowing from the asset; or
(d) operating losses or net cash outflows for the asset, when current period amounts are aggregated with budgeted amounts for the future.

【訳】
第14項 内部報告において資産の減損の可能性を示す証拠が認められる場合の例を挙げる。
(a) 当該資産を取得するためのキャッシュ・フロー、または、その後の資産の操業もしくは維持に必要な資金が当初予算よりも著しく高額であること
(b) 当該資産から生じる正味キャッシュフローまたは営業損益が予算よりも著しく悪化していること
(c) 当該資産から生じる正味キャッシュ・フローまたは営業利益の著しい落込み、または、予算計上されている損失の大幅な増加
(d) 当期の数値を将来の予算上の数値と合計した場合に、当該資産に関して営業損失または正味キャッシュ・アウトフローが生じること

■今日の単語
subsequent [sʌ'bsəkwənt] 【形】 次の、後の、その後の

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