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「松下銀行」資金力に陰り TVの採算回復カギ(IAS36号)

パナソニックが9日に発行する計5000億円の普通社債(SB)。日本企業が一度に発行する社債としては過去最大規模となる。三洋電機とパナソニック電工の完全子会社化を目前にして、このような大型調達に踏み切るのはなぜか。

巨額の資金支出

完全子会社化に伴う巨額の資金支出で、懐事情が厳しさを増していることが背景にある。

昨年秋の三洋、パナ電工株のTOB(株式公開買い付け)に投じた現金は約5252億円。一定の運転資金を確保する必要もあり、「オランダなど海外各地の金融拠点から資金を集めた」(パナソニック幹部)。加えて、5000億円規模のコマーシャルペーパー(CP)を発行してしのいだという。

今回の社債発行は、CP発行で急激に膨らんだ短期有利子負債を、条件の良い中長期の安定資金に置き換えるのが目的だ。

活発なグループ資本戦略の反動はバランスシートに表れている。手元流動性(現金・現金同等物と定期預金、短期投資の合計)から有利子負債を差し引いた「ネット資金」は、三洋株の過半を取得した2009年末に約14年ぶりのマイナスに転じ、借入超過が続いている。

10年12月末時点でネット資金のマイナス幅は6000億円弱、代表的な安全性指標である自己資本比率は32.5%と、リーマン・ショック前の08年3月末に比べそれぞれ約1兆5000億円、約18ポイント悪化した。

売上高が同規模の日立製作所のネット資金(証券化事業体の連結に伴う負債を除く)は昨年末時点で1兆8千億円弱のマイナス。他の電機大手も大半がマイナスで、パナソニックの資金水準が低いというわけではない。自己資本比率もソニー(22.3%)、東芝(14.5%)などを大幅に上回っている。

ただ、松下電器産業時代から、強さの源は「松下銀行」と称されるほどの強固な財務体質だった。バランスシートの急激な変化で、その面影は薄れつつある。
株価が上がらず

パナソニックの株価は完全子会社化計画を公表した昨年7月29日の前日から、約6%安い水準にとどまる。同社の首脳は「我々のグループ戦略がなかなか株式市場に理解してもらえない」と、もどかしさを隠さない。

市場関係者が注目するのは、4月下旬に発表する構造改革の内容だ。従業員38万人の巨大組織をいかにスリム化するか。中村邦夫会長が社長の時に進めた改革では、初年度の02年3月期に約1万3000人の早期退職を断行した。「中村改革」のような「大胆で迅速なリストラ計画を示す必要がある」(外資系アナリスト)との声も聞かれる。

「松下銀行」の資金力を再び高めるには、09年3月期から3期連続の赤字が続く薄型テレビ事業の採算回復が欠かせない。リーマン・ショック直後にパネル製造設備の大部分を減損処理しコスト構造が軽くなった が、相次ぐパネル新工場の稼働で再び重い減価償却負担を背負っている。国内のエコポイント制度など空前の特需がありながら、黒字転換を果たせていない。

メリルリンチ日本証券の片山栄一アナリストは「テレビ関連で特に将来性が厳しいのは液晶パネル。競争力のある韓国勢との事業統合か、縮小均衡か。生き残る道はいずれかしかない」と指摘する。

パナソニックの上野山実常務は「13年3月末には何とかネット資金をプラスに持っていきたい」と語る。不採算事業にメスを入れ、財務体質強化への道筋を市場に示せるか、正念場だ。

((始動パナソニック大統合)(下)「松下銀行」資金力に陰り TVの採算回復カギ
2011/3/5付 日本経済新聞 朝刊)

   +++

■国際会計基準では

IAS36号「減損 (Impairment of Assets)」から、
減損の兆候のうち、
会社内部の兆候の例を引用します。

【原文】
14 Evidence from internal reporting that indicates that an asset may be impaired includes the existence of:
(a) cash flows for acquiring the asset, or subsequent cash needs for operating or maintaining it, that are significantly higher than those originally budgeted
(b) actual net cash flows or operating profit or loss flowing from the asset that are significantly worse than those budgeted;
(c) a significant decline in budgeted net cash flows or operating profit, or a
significant increase in budgeted loss, flowing from the asset; or
(d) operating losses or net cash outflows for the asset, when current period amounts are aggregated with budgeted amounts for the future.

【訳】
第14項 内部報告において資産の減損の可能性を示す証拠が認められる場合の例を挙げる。
(a) 当該資産を取得するためのキャッシュ・フロー、または、その後の資産の操業もしくは維持に必要な資金が当初予算よりも著しく高額であること
(b) 当該資産から生じる正味キャッシュフローまたは営業損益が予算よりも著しく悪化していること
(c) 当該資産から生じる正味キャッシュ・フローまたは営業利益の著しい落込み、または、予算計上されている損失の大幅な増加
(d) 当期の数値を将来の予算上の数値と合計した場合に、当該資産に関して営業損失または正味キャッシュ・アウトフローが生じること

■今日の単語
subsequent [sʌ'bsəkwənt] 【形】 次の、後の、その後の

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