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リース会計のIFRS基準案、産業界で警戒感広がる 見かけの資産効率悪化も(IAS17号)

IFRS
リースや賃貸借取引に絡む国際的な企業会計の基準案を巡り、産業界で警戒感が広がっている。案では原則ほぼ全てのリース取引などを貸借対照表に計上するよう求めており、運輸や不動産など幅広い業種への影響が見込まれるためだ。総資産が急膨張して、見かけ上の資産効率の悪化につながりかねないとの警戒が出ている。

基準案は国際会計基準審議会(IASB)と米財務会計基準審議会(FASB)が昨年公表した。日本の会計基準は国際会計基準(IFRS)との共通化を進めており、大きな影響を受ける。

海運業が多く使う「定期用船(チャーター)契約」と呼ばれる船員付きリース取引は、現行基準では計上対象外だが基準案では計上対象になる。用船契約などを全て負債計上すれば海運各社の負債資本倍率は今の1倍台から4倍前後に高まるとの試算もあり、日本郵船の工藤泰三社長は「定期用船は(船舶の賃貸借契約ではなく)役務提供にすぎない」と反発する。

不動産業では、アパートの所有者に家賃保証をしている場合、将来払う家賃などが負債になる。大東建託では大家から借り上げている賃料の支払予定額が2010年3月末で1兆3千億円弱。これがそのままオンバランス化されるわけではないが、総負債が大幅に膨らみそう。小売業などでも長期賃貸契約が主流で、リース取引の圧縮や賃貸物件の自社物件化などが進む可能性がある。

また鉄道会社でも、駅舎や線路を保有する独立行政法人などに使用料を払って運行する「上下分離方式」を採用する場合、そうした利用に絡む資産・負債も貸借対照表に計上することになりそう。野村証券の試算では、10年3月期時点のベースで、上場JR3社の負債は最大約3兆5千億円膨らむ可能性があるという。

貸し手のリース業界は取引減少につながると警戒する。08年には、実質的な売買とみなされるリース取引を貸借対照表に計上する基準改正があったばかり。金融危機も打撃となり、業界全体のリース残高は2年で約3兆円減った。実務コストも増えそうで、リース事業会社の業界団体、リース事業協会の小幡尚孝会長は「短期間の再改定は負担が大きい」と渋い表情だ。

大和住銀投信投資顧問の窪田真之シニア・ファンド・マネージャーは「リース取引を幅広くオンバランス化することは評価できる」とする一方、予測見積もりの要素が大きい現行案では「リース負債が過大計上される可能性もある」と指摘する。

IASBなどの公開草案には世界から770件の意見が寄せられ、IASBも年明けから基準案の一部手直しに着手。草案より、企業が予測を見積もりやすくする方向だ。ただ借り手の貸借対照表計上は貫く見通し。

基準案は、投資家にとっては入手できる企業情報が増える利点がある。企業側にとっても、他社との比較可能性が向上する可能性もある。ただ資産効率の改善を急ぎたい企業が多いだけに、最終基準化までには曲折もありそうだ。

(リース会計のIFRS基準案、産業界で警戒感広がる 見かけの資産効率悪化も
2011/3/12付 日本経済新聞 朝刊)

   +++

■国際会計基準では

国際会計基準審議会 (IASB) と米財務会計基準審議会 (FASB) が公表した、
公開草案(Exposure Draft ED/2010/9)「リース (Leases)」(2010年8月)(日本語訳
へのコメントは、昨日12月15日が期限となっていました。

【原文】karaoke
Changes to lessee accounting
IFRSs and US GAAP classify leases into two categories: finance leases and
operating leases. Lessees would be most affected if they have a significant
portfolio of assets held under operating leases, especially those with leases of property. At present, IFRSs and US GAAP account for the lease payments arising from operating leases by recognising them in the period in which they occur. The proposals would require lessees to recognise the assets and liabilities arising from those leases.

【訳】
借手の会計処理の変更
IFRS とUS GAAP はリースを2 つの区分に分類している。ファイナンス・リースとオペレーティング・リースである。借手が最も影響を受けるのは、オペレーティング・リース(特に不動産に関するもの)で保有している資産のポートフォリオが重要な場合である。現在、IFRS とUS GAAP は、オペレーティング・リースから生じるリース料を、発生した期間に認識している。この提案は、オペレーティング・リースに係るリース資産及びリース負債の認識を借手に求めることとなる。

■きょうの単語
classify [klæ'səfa`i] 【他動】 ~を分類する

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