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開発費会計

日本の会計基準と国際会計基準(IFRS)の共通化で、研究開発費の扱いが焦点になっている。全額を費用計上する日本に対して、IFRSは開発費の一部を資産計上する点に違いがある。

企業の判断、異なる懸念 谷口進一氏(新日本製鉄副社長)

――開発費の資産計上をどうみるか。

「製造業の立場では、IFRSが求める6要件に沿ってどう判断するか難しい。開発担当者の視点で見れば一つ一つの技術を完成させ、使う意志はある。だが製品化までの過程は千差万別。製品化のタイミングも異なる。技術部門が判断するにしても作業がかなり煩雑になりそうだ」

「もう一つは比較可能性の問題だ。どこまで資産計上するかという判断は同じ業種でも異なる可能性があり、損益にも影響する。日本が開発費を全額、費用処理するのは、比較可能性が保てるとの判断からだ」

――資産計上した分の製品化が遅れると、減損の対象となる可能性がある。

「結果として減損が生じる事態は想定できる。製品サイクルは短くなっており、競争条件の変化も速い。開発費を全額費用で処理せず、一部を資産に計上する場合は一定の減損が生じるリスクを考慮する必要があるだろう」

――単独決算については、企業から税法や会社法との調整を求める声が上がっている。

「IFRSは主に連結決算が対象。国際的な流れに合わせる必要性は理解するが、企業経営にとっては単独も重要だ。税と会計が離れれば、二重計算が生じ、非効率な側面が出てくる可能性がある」
資産計上で原価を適切に 山田辰己氏(国際会計基準審議会理事)

――開発費に対するIFRSの考え方は。

「現行の日本基準は開発費を全額費用としているが、IFRSは製品化が『かなり確実』となった時点からの費用は資産計上を求めている。基本的な考え方は製品化にかかった費用と得られる収益を対応させること。製品を売って得る収益に対応させるべき原価を適切に計算しようというものだ」

「製品化のメドが立ったと判断する要件は6つある。開発の最終段階で新しい技術を使った金型や試作品ができていたり、実験プラントを設けたりしている場合は該当する可能性が大きい」

――製造業の一部から研究費と開発費を分けるのは難しいとの指摘がある。

「技術革新が激しい分野では、研究と開発を分けられないケースもあるだろう。明確に分けられない場合、IFRSも費用で落とす処理を認めている。早い段階で資産に計上すると、製品化につながらないリスクがあるためだ」

――開発費を含む無形資産の基準をわかりやすく見直してほしいという声もある。

「個人的な意見だが、今夏以降、国際会計基準審議会(IASB)で取り組む課題となりうるだろう。日本だけでなく、豪州からも見直してほしいという要望が寄せられており、現在は調査中の段階にある」

IFRSと日本 論点を聞く(2) 開発費会計 2011/2/3 4:00 日本経済新聞 朝刊

   +++

■国際会計基準では

IAS38号「無形資産 (Intangible Assets)」に
「開発段階」に入ったと認められるための要件が
挙げられています。

【原文】karaoke
Development phase
57 An intangible asset arising from development (or from the development phase of an internal project) shall be recognised if, and only if, an entity can demonstrate all of the following:
(a) the technical feasibility of completing the intangible asset so that it will be available for use or sale.
(b) its intention to complete the intangible asset and use or sell it.
(c) its ability to use or sell the intangible asset.
(d) how the intangible asset will generate probable future economic benefits.
Among other things, the entity can demonstrate the existence of a market for the output of the intangible asset or the intangible asset itself or, if it is to be used internally, the usefulness of the intangible asset.
(e) the availability of adequate technical, financial and other resources to complete the development and to use or sell the intangible asset.
(f) its ability to measure reliably the expenditure attributable to the intangible asset during its development.

【訳】
開発段階
第57項 開発(または内部プロジェクトの開発段階)から生じる無形資産は、
会社が以下のすべてを証明できるときに限って、
認識することができる。
(a) 使用または売却が可能になるような、
 無形資産を完成する技術的な可能性
(b) 無形資産を完成し、使用または売却する意思
(c) 無形資産を使用または売却する能力
(d) 無形資産が有望な将来の経済的便益を生み出す方法。
 中でも、その無形資産からの生産物や無形資産そのものの市場の存在
 (資産が社内で使用される場合にはその有用性)を
 証明することができること。
(e) 開発を完了し、その無形資産を使用または売却するための
 十分な技術的、財務的その他の資源が使用できること
(f) 開発中の無形資産に帰属する支出を
 信頼性を持って測定できる能力

※ 開発費を資産計上するためには、
上記6つの観点から、
その支出が将来の経済的便益(≒収益)の獲得に
貢献する可能性が十分に高いことを
証明することが求められます。

■きょうの単語
attributable [ətri'bjutəbl] 【形】 (~に)起因する

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