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ノーワーク・ノーペイ(IAS19号)

IFRS
(昨年9月の記事より)
敬老の日の20日、秋分の日の23日と休日が多い1週間となる。夏の暑さで疲れた身体を癒やすには貴重な休みだ。しかし、両日とも会社が休みでなくとも法律違反ではない。カレンダーどおりに休ませる定めは労働法にないからだ。

社員を休ませる制度は、「休日」と「休暇・休業」に分類できる。前者は社員の意思に関係なく休ませなくてはならず、後者は社員から申請があれば休ませるものだ。いずれも、労働法に定めがあるもの(法定)と、各社独自のもの(法定外)に分類できる。前者には労働法の規制があるが、後者は各社が任意に設定することが可能だ。

「法定休日」は、原則、毎週1日付与しなくてはならない(週休制の原則)。カレンダーどおりに土日祝日を休日とする企業も多いが、これは週1日の法定休日に加え、週1日と祝日の法定外休日を設定しているのだ。週休制の例外として、4週間に4日の法定休日を設定することも認められている。さらに三六協定を締結して割増賃金を支給すれば、法定休日に労働させることもできる。ただ、労働日の連続は社員の健康を損なう恐れがあるため、極力避けるのが望ましい。

「振替休日(振休)」と「代替休日(代休)」の違いも知っておきたい。いずれも法定休日としている日に労働させ、その分を他の日に休ませることだ。違いは、事前に他の日を特定しておく(振り替える)か否かだ。あらかじめ休日を振り替えるのが振休、しないのが代休である。

代休には割増賃金が発生する。振休では休日を他の日に振り替えるため、出勤日が休日ではなくなり割増賃金は不要となるが、代休は出勤日が休日のままのため、割増賃金が発生する。ところが、事前に振り替えずに「スケジュールに余裕が出たら休ませる」という代休的な運用をしながら、振休と称して割増賃金を払わないケースが多い。これは法に反する。割増賃金を払うか、事前に休日を振り替える運用を徹底しなくてはいけない。

「法定休暇・休業」には、就業期間と出勤率に応じて付与される「法定有給休暇」のほか、「生理休暇」「育児休業」などがある。

企業によってはこれらに加え、「法定外休暇」などを付与することがある。代表的ものは、有給休暇日数の上乗せ、結婚や身内の不幸があったときに取得できる「慶弔休暇」、業務外のケガや病気による長期の休みを認める「私傷病休職」だ。

「私傷病休職」は、他の制度と異なり、退職猶予措置の意味を持つ。休みが長期化すると退職を余儀なくされるが、この制度により一定の猶予期間ができる。しかし最近は、メンタルの不調で取得する社員が増え、長期化する傾向がある。このため、必要以上の期間や要件を見直す企業が増えている。

休んだ日の賃金は、有給休暇を除き原則不要だ。賃金は実際の労働に対して支給されるものだからだ(ノーワーク・ノーペイの原則)。短期間の法定外休暇などでは支給する企業も多いが、あくまでも任意だ。

なお、2015年前後に上場企業で導入が義務付けられる可能性があるIFRS(国際会計基準)では、有給休暇を引当金計上するルールが示されている。有給休暇の取得率が低い企業は、この額が膨らむ可能性がある。

いずれにせよ有給休暇の取得率が低いことは望ましくはない。これを機に会社を挙げて向上に取り組むことをお勧めしたい。

(大和総研コンサルタント/社会保険労務士 広川明子)

(労務のいまAtoZ(6)連休でも休みなし?――週1休み、土日に限らず。
2010/09/22  日経産業新聞)

   +++

■国際会計基準では
IAS19号「従業員給付」には、
約1ページ、11項-16項までの6項にわたって、
「短期有給休暇」 (Short-term compensated absences)
の規定があります。

【原文】bell
11 An entity shall recognise the expected cost of short-term employee benefits in the form of compensated absences under paragraph 10 as follows:
(a) in the case of accumulating compensated absences, when the employees render service that increases their entitlement to future compensated absences; and
(b) in the case of non-accumulating compensated absences, when the absences occur.

【試訳】 
11. 会社は、10項にしたがって、予想される短期従業員給付の費用を有給休暇として認識しなければならない。
(a) 累積型の場合
将来付与される有給休暇の権利を増加させる勤務を従業員が提供した時点で認識する。
(b) 非累積型の場合
休暇を取得した時点で認識する。

※使い切らずに残った有給休暇を翌期以降に繰り越せるのが(a)累積型、
そうでないものが(b)非累積型です。


■日本企業への影響

労働基準法は、115条(時効)で、
「労働者の年次有給休暇の請求権は、2年で時効にかかる」
と定めており、翌年度まで繰り越すことが可能ですから、
日本企業の有給休暇は、(a) 累積型に該当します。

したがって、決算時には、
翌期に取得が見込まれる有給休暇分の費用を計上する
(引当金を積む)ことが求められます。

非正規社員に付与する分も含め、
来期の消化率を見積もる必要が出てくるわけです。


■今日の一語
recognize: (収益・費用を)認識する、計上する

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