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法人減税 痛みとセット 「加速度償却」の縮小など浮上。活性化には力不足(IAS16号)

IFRS

政府税制調査会は法人課税の実効税率(現行約40%)を2011年度に5%引き下げるため、1兆5000億円にのぼる財源の手当てを急ぐ。ほかの企業向け減税の廃止・縮小で1兆1000億円を賄う方針で、産業界の負担を実質的に4000億円軽減する方向で調整する。研究開発減税や欠損金の繰り越し控除などを圧縮すれば、特定の業種にマイナスの影響が及びかねない。企業の活力を期待通りに引き出せるかどうかは不透明だ。

業種ごとに明暗

「要請する側も汗をかいてもらわないと困る」。野田佳彦財務相は7日の閣議後の記者会見で法人減税の財源に触れ、企業に多くの負担を求める考えを示した。
 経済産業省は、企業の研究開発費に応じて一定の税額控除を認める研究開発減税を縮小すべきだと指摘。欠損金を翌期以降に繰り越して所得と相殺できる制度については、繰越期間を現在の7年から10年に延ばしたうえで、控除前の所得の8割以下に制限するよう求める。

減価償却を大幅に前倒しできる「加速度償却」の縮小も要請している。耐用年数10年の設備を購入した場合、1年目で取得価額の25%を償却できる仕組みで、経産省は前倒しのスピードを遅らせる案を検討中だ。

こうした増税は業種によって明暗が分かれる。国税庁の08年度調査によると、欠損金の繰り越し控除は金融保険の2兆円程度が最も多い。研究開発の税額控除は化学が全体の約4割、機械が約2割を占める。減価償却費の見直しは電機や化学への影響が大きい。

政府税調は法人課税の実効税率を国税で約4%、地方税で約1%引き下げる方向で調整する。そのためには国税で1兆2000億円、地方税で3000億円の財源を確保しなければならない。

国税については8000億円を企業の負担、残りの4000億円を企業以外の負担で賄う見通し。地方税に関しては法人事業税などの課税ベースを広げて財源を捻出する方向で、企業の負担は国税と地方税の合計で1兆1000億円に達する公算が大きい。

だが経産省が8日の政府税調に提示するのは、国税だけで7000億円の企業負担を求める案だ。残りの財源は将来の景気回復で発生する「自然増収」に頼っている。政府税調は企業負担を1000億円上積みするよう要請する構え。欠損金の繰り越し控除をさらに縮小するかどうかが次の焦点となる。

政府税調は「法人課税の実効税率を5%下げるには、控除前所得の半額まで利用を制限しなければならない」とみている。しかし産業界は繰り越し控除の縮小に反対している。日本経団連の米倉弘昌会長は6日の記者会見で「非常に心外だ」と言い切った。

研究開発減税や減価償却の一段の縮小も、産業界が反発するのは必至だ。法人減税を実施するために、企業の活力をそぐ結果になりかねないとの声も出ている。

相続税取り合う

企業以外の負担を巡る調整も難航する可能性がある。政府税調では相続税の基礎控除の縮小、上場株式などの配当や譲渡益にかかる証券優遇税制の廃止を通じて、財源をひねり出す案も浮上している。

だが3歳未満に限って子ども手当の支給額を月1万3000円から月2万円に拡大するため、相続税の増税分を活用する案も取りざたされる。証券優遇税制の廃止については、民主党と連立を組む国民新党が反対しており、不透明な要素が多い。経産省が主張する将来の自然増収も財源として加味すべきだとの声もくすぶる。

(法人減税 痛みとセット 欠損金控除など縮小浮上 活性化には力不足
2010/12/8付 日本経済新聞 朝刊)

※ 記事中の「加速度償却」は、いわゆる「250%定率法」
 (償却率を定額法償却率の250%とする定率法)を指します。

 耐用年数10年の場合、
  (加速度償却の償却率)
 =(定額法の償却率)×250%
 =(
1÷10年)×250%
 =10%×2.5
 =25%
 となります。

   +++

■国際会計基準では

IASBが公表した、不定期な教育用の注釈 (Occasional Education Notes)、
「減価償却と国際会計基準 (Depreciation and IFRS)」(2010年11月19日付)
企業会計基準委員会ASBJによる仮訳)より、
「IAS第16号 有形固定資産は、償却方法の多様性を認める
(IAS 16 permits a variety of depreciation methods)」
の一部を抜粋します。

なお、この文書には、
"This article represents the views of the author and
is not an official pronouncement of the IASB."
(この記事は筆者の見解を表すものであって、IASBの公式な表明ではない。)
との注意書きが付されています。

【原文】karaoke
Is there a preference in IAS 16 for the straight-line method over other methods? Again, I think not. The straight-line method may be the easiest to administer and for financial statement users to understand, in the absence of evidence to the contrary. Those factors make it the easiest method, but not necessarily the preferred method.

【訳】
IAS第16号の中に、
定額法が他の償却方法より望ましいとする記載はあるか。
繰り返すが、私はそのような記載はないと考えている。
定額法は、もっとも管理が楽で、
財務諸表の利用者にとっても理解しやすい方法であるかもしれない。
それらの要素によって、定額法はもっとも簡単な償却方法にはなるが、
必ずしも望ましい方法であるとは限らない。

…とは言っても、さすがに、250%定率法が望ましい方法であることを
理由付けられるケースはなかなかないかもしれません。

■きょうの単語
repair [ripe'ər] 【名】 修理、修繕
maintenance [me'intənəns] 【名】 持続、維持、保守
approximation [əprɑ`ksime'iʃn] 【名】 近づくこと、近似、概算

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