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「加速度償却」の縮小が減税効果を相殺 (IAS16号)

IFRS
法人課税は実質的に5800億円の減税となるという。第一生命経済研究所の試算によると日本企業全体(金融を除く)の2012年3月期の純利益を約5%押し上げる効果がある。もっとも、欠損金の繰越控除制度や研究開発減税制度の縮小で、企業によっては負担が増える場合も出そうだ。

欠損金の繰越控除制度の縮小では、金融などの税負担が増す見通し。相殺できる翌期の所得が8割に制限されるためだ。法人税を長年軽減されてきた銀行は多く、08年度の欠損金繰越控除額約7.4兆円のうち金融保険が2兆円を占める。

事業会社でも双日や電機大手など、過去に巨額赤字を計上した企業には負担になりそうだ。監査法人トーマツの園生裕之パートナー(公認会計士)は「納税資金を手当てするために借り入れたり、含み益のある株式、不動産の売却を迫られたりする企業も出そうだ」と話す。ただ、繰越期間が7年から9年に延び、メリットを受ける企業もある。

研究開発減税制度については、前期は医薬品業界では武田薬品工業が230億円強、アステラス製薬が120億円、エーザイも70億円程度の恩恵があった。いずれも税引き前利益の約1割に相当する。キヤノンは09年12月期で50億円程度の恩恵があった。

控除額を限度いっぱい使っている企業が少なく制度縮小の影響は限られる見通しだが、多額の研究開発投資をしている企業からは「法人実効税率下げの効果の多くが相殺されてしまう」(塩野義製薬の手代木功社長)との声も上がる。キヤノンの田中稔三副社長は「経済活性化と国際競争力の強化という本来の目的に沿って、企業に本質的な効果が及ぶよう政府は検討してほしい」と話す。

07年度に導入された、設備投資などの実施直後は多めに減価償却をできる制度はブリヂストンや信越化学工業、新日本製鉄など上場企業の約半分が採用。縮小の影響は幅広い企業に及びそうだ。

三菱重工業は1000億円を超える設備投資を続けている。10~15年で償却する設備が多い。12年3月期は税金計算上の減価償却費が税制改正前に比べ数十億円減少。課税所得が増え税負担につながる可能性がある。

思わぬ余波も出そうだ。法人実効税率の引き下げが逆に、一時的な減益要因になる可能性がある。企業はあらかじめ将来の税金軽減効果を見込み「繰り延べ税金資産」を積んでいる。その資産を税率引き下げ分だけ取り崩す必要があるためだ。

利益の目減り額は日本経済新聞社の推計で東京電力では500億円を超え、JR東日本で300億円程度となる見通し。ドイツ証券調べでは三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)で800億~900億円、三井住友FG、みずほFGでそれぞれ500億~600億円となる。税制法案の成立時期によるが今期もしくは来期に響く。

(法人減税 痛みとセット 欠損金控除など縮小浮上 活性化には力不足
2010/12/8付 日本経済新聞 朝刊)

※ 記事中の「07年度に導入された、
 設備投資などの実施直後は多めに減価償却をできる制度」
 は、いわゆる「250%定率法」 (償却率を定額法償却率の250%とする定率法)
 を指します。

 耐用年数10年の場合、
  (加速度償却の償却率)
 =(定額法の償却率)×250%
 =(1÷10年)×250%
 =10%×2.5
 =25%
 となります。

   +++

■国際会計基準では

IASBが公表した、不定期な教育用の注釈 (Occasional Education Notes)、
「減価償却と国際会計基準 (Depreciation and IFRS)」(2010年11月19日付)
企業会計基準委員会ASBJによる仮訳)より、
「IAS第16号 有形固定資産は、償却方法の多様性を認める
(IAS 16 permits a variety of depreciation methods)」
の一部を抜粋します。

なお、この文書には、
"This article represents the views of the author and
is not an official pronouncement of the IASB."
(この記事は筆者の見解を表すものであって、IASBの公式な表明ではない。)
との注意書きが付されています。

【原文】karaoke
Is there a preference in IAS 16 for the straight-line method over other methods? Again, I think not. The straight-line method may be the easiest to administer and for financial statement users to understand, in the absence of evidence to the contrary. Those factors make it the easiest method, but not necessarily the preferred method.

【訳】
IAS第16号の中に、
定額法が他の償却方法より望ましいとする記載はあるか。
繰り返すが、私はそのような記載はないと考えている。
定額法は、もっとも管理が楽で、
財務諸表の利用者にとっても理解しやすい方法であるかもしれない。
それらの要素によって、定額法はもっとも簡単な償却方法にはなるが、
必ずしも望ましい方法であるとは限らない。

…とは言っても、さすがに、250%定率法が望ましい方法であることを
理由付けられるケースはなかなかないかもしれません。

■きょうの単語
repair [ripe'ər] 【名】 修理、修繕
maintenance [me'intənəns] 【名】 持続、維持、保守
approximation [əprɑ`ksime'iʃn] 【名】 近づくこと、近似、概算

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